2022年 「第7回 石本正 日本画大賞展」 受賞作品

大賞


 大橋 裕子 (倉敷芸術科学大学 特別研究生2年)
《息づく》

【作品コメント】

ふと目にとまった微少なものにも営みがあることに気づくと、まだ見ぬものたちにも思いを馳せる。

自然界の至る所から聞こえてくる息づかいの一つは私自身でもあり、全ては繋がり響き合っている、そんな思いで描いた。

 

【受賞のことば】

素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思うと同時に身の引き締まる思いです。制作中は和紙、銀箔、揉みシワのざわめきが聞こえ、耳を澄ませて線をすくっていくと新たな世界が次第に姿を現して語り掛けてきました。自身もまた自然界の一部、今後も自然と丁寧に向き合いたいと思います。ご関係の皆様に心より感謝申し上げます。


準大賞(第一席)


 小林 美野理( 奈良芸術短期大学 専攻科1年)
《暗中模索》

【作品コメント】

あの暗い道は一本道ではない。あの出口にはそう簡単にたどりつけない。

 

【受賞のことば】

このような大きい賞に入ったのは初めてなので、嬉しいを通りすぎて怖くなりました…。うちの作品でいいのか!?嬉しさが大きすぎて空から槍とか降ってきそうな!?

これからも謙虚に妥協せず何があろうとも自分を見失わず、自分と向き合って制作に励みます!

もっと己を磨くぞぉ…


準大賞(第二席)


當真 凛大 (沖縄県立芸術大学 修士1年)
 《夢の中で》

【作品コメント】

夢をみるときのあらゆる視点や平行感が定まらず、すべての解像度が低い不思議な感覚になることを表現しました。起きた時には夢の記憶は消え失せて感情しか残らないモヤモヤした感じが伝わるように心がけました。

 

【受賞のことば】

この度は準大賞を受賞できたことを非常に嬉しく思います。これまで何か賞をもらったことがなかった私にとって初めての受賞でした。何かを描くわけでもなく何かを描こうとした自分の作品が評価されたことは私にとって大きな自信に繋がりました。この受賞を機にこれからも精進してまいります。


特別賞(日本海信用金庫 理事長賞)


山田 翔大 (奈良芸術短期大学 専攻科1年)
 《清涼》

【作品コメント】

祖父から譲り受けたコケと植物が生えた陶器鉢です。オリヅルランやシェフレラが生き生きとした様は、いつも私に元気をくれます。偶然コクワガタが陶器鉢に乗る様子を見て、涼しい夏を思い描いてみたくなりました。 

 

【受賞のことば】

今回はこの様な名誉ある賞をいただき、身に余る光栄です。私自身とても驚いており、嬉しく思います。これからも自分の作品と向き合い、技術と鍛錬を重ね、成長していきたいと思います。ありがとうございました。 


特別賞(浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞)


森 映里奈 (名古屋芸術大学 3年)
 《のんのん》

【作品コメント】

午前6時木魚の音と共に般若心経が聞こえてくる。

ばばの日課である。

 

【受賞のことば】

受賞できて大変嬉しく思います。

この賞をいただくことができたのは、モデルが良かったのと、絵の具をたくさん買ってくれた母のおかげです。

ばばどん、ママありがとう!

 


奨励賞(50音順)


台所の情景川﨑 千尋(成安造形大学 4年)

【作品コメント】

夕食を準備中の台所、特に魚焼き網にのったカレイが美しかったので、その印象を描きました。

 

 

 

【受賞のことば】

この度はこのような賞をいただき、たいへん嬉しく思っております。この作品は身近なモチーフに目を向けるきっかけとなるものでした。この経験を励みに、これからも画面に誠実に向き合い続けたいと思います。

春になる張 安迪(武蔵野美術大学 博士3年)

【作品コメント】

生命が静まってきて、最終は土に還る。その時、肉体も霊魂も、この世界に溶けていき、万物と融合される。風になるか、土になるか、山野のユリにもなるか。人間は死ぬのではなく、ただ肉体から離れ、春になった。 

  

【受賞のことば】

この度は第7回石本正日本画大賞展奨励賞を授与していただき、誠にありがとうございます。なにより日々、ご指導いただいてきた先生方、応援してくれている家族や友人に心より感謝申し上げます。今後一層の努力と精進を重ねて制作に励んで参ります。これからもご指導を賜りますようお願い申し上げます。


ワタシノツクエ柘植 省吾(筑波大学 修士1年)

【作品コメント】

絵の具を重ねては削ってを繰り返して、脆くて強い画面を目指している。そういった画面とのやりとりを通して、使い古した机に残った痕跡の様なものを表現したいと思った。だから画面に手垢を残すようにやりとりを重ねた。 

 

 

【受賞のことば】

普段制作をしていると自分の画面から多くのことを学びますが、それらは絵具の反応に限った話ではありません。画面が荒れれば部屋も散らかるように、制作と生活がつながっているような実感があります。今回の受賞の知らせを聞いて、どこかまた新鮮な気持ちで制作に取り組んでいます。

reflection》 平井 実愛 (嵯峨美術大学 修士1年)

【作品コメント】

人は心の内に様々な感情を持っているもの。その中にある本音を捉えようと模索しました。人が無防備な状態で無意識にしてしまう仕草にこそ、本音があると考えます。 

 

 

 

【受賞のことば】

この度は、奨励賞という名誉ある賞をいただくことができ、とても嬉しく思います。今回は今までの作品の方向性から大きく変え、新しい表現に挑戦した作品だったので、このような形で評価していただくことができ、とても励みになりました。今後もより一層精進して参りたいと思います。ありがとうございました。


天つ日》 吉本 悠華 (女子美術大学 4年)

【作品コメント】

「嬉しいと心に自然が生える」

という言葉からできた作品です。

絵の中の彼が言った言葉です。

曖昧な心の変化を表現したいと思いました。

森の中で食事をしているような、優しい空間になるように意識しました。

 

 

【受賞のことば】

私にとって絵は、自分のためのものでした。

ですが、友人や家族を描いている内に、彼らに支えられているような感覚になり、自分以外の誰かにもこの気持ちを共有できたらな、と思うようになりました。

そんな想いが、誰か一人にでも届いていたら嬉しいです。

この作品への想い、今回このような賞を頂いた喜び、一生忘れません。


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