石本正 日本画大賞展とは

概要


 本展は、島根県浜田市出身の日本画家・石本正(いしもと しょう/1920-2015)の功績を顕彰し、未来への希望に満ちた学生の創作活動を奨励するものです。長きにわたる画業の中で後進の育成にも心を注ぎ、多くの画家を画壇へ送り出してきた石本は「学生の作品には欲が無く気力がある。作家と対象との心の交流があり、見る者に訴えかけてくる」と語り、若い力が生み出す純粋性を愛していました。

 

 石本正 日本画大賞展では、全国で日本画を修める大学に推薦を依頼し、石本の画心を受け継ぐ審査員の方々より、優秀な作品に賞を与えて奨学します。2011年美術大学選抜日本画展から石本正日本画大賞展と名称を変えながら、この度12回目の開催となります。また、例年ご好評いただいている交流会についても行う予定です。本年も心あるすばらしい作品が出品されることを願っています。

●日本画家・石本正について

http://www.sekisho-art-museum.jp/ishimoto

(石正美術館公式ホームページ)

 


審査員


(敬称略)

中野 嘉之

実に長い間、コロナ禍での制作を強いられている中でありながら、多くの力作が

石本正日本画大賞展に出品されています、今まで気づかなかった日常、身近な情景、

と時代の背景が鮮明に見えます、小生が大学院の頃を思い返しております。

只々闇雲に、良い作品を描きたい、と焦るばかりでした、今思うと

感動する、驚く、感じる事、を置き去りにしていたのだと、、、

さあ今じっくり構えてる、己の信の思いを見つめてみよう。

作者の思いを感じる作品を楽しみにしています。 

 

                               (多摩美術大学名誉教授)



土屋 禮一

かって土屋さんはよく水面を描かれますが、何故ですかと聞かれたことがあります。父を亡くした16歳の若き日、母や親戚が葬儀の準備等で忙しくしている中、これからの土屋家はどうなるんだろうと、庭の池の水面をただただ眺めていたことを思い出します。子供なりにあの日の切実感が水面を見ると蘇ります。

絵を描くとき、こう描きたかった表現したかったという根拠に深く気がつくことです。それが自分に出会うという重要なことなのです。風で草が揺れるのを見て弱さを感じた日もあれば、状況が同じなのに強さを感じた日もあります。自分の奥底の気持ちに向き合って、描き現す創造の世界に突き進んで行ってください。 

 

                                                  (金沢美術工芸大学名誉教授)


西久松 吉雄

2年に及ぶコロナ禍の中、人との交流を深めることや自由に写生の旅に行くことも考慮する状況で、日常風景を見直す機会となっています。

その中で、石本正日本画大賞展で新鮮な感性の作品に出会えること、また描かれた作品の想いを感じること、そして楽しく描かれていることなどを毎回感じながら、出品作に会える日を楽しみにしています。

自己の心への問いかけを繰り返しながらどのような作品が生み出されるのか、先を見ようとする思考と今を生きる姿勢が作品にどのように反映されているのか、期待感があります。自己の五感を信じて、日々の創作活動に励んでほしいと思います。

 

                (成安造形大学名誉教授・浜田市立石正美術館館長)

 


受賞作品、副賞について


出品作品の中から厳正な審査の上、次の通り受賞作品を決定します。(大賞・準大賞作品は浜田市立石正美術館に収蔵されます) 

 

■大賞…1点(副賞)奨学金30万円

■準大賞…2点(副賞)奨学金20万円

■特別賞 日本海信用金庫 理事長賞…1点(副賞)奨学金10万円

■特別賞 浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞…1点(副賞)奨学金10万円

■奨励賞…5点(副賞)奨学金  5万円

◎あわせて、受賞者全員に浜田市三隅町の伝統工芸品『石州和紙』(50号サイズ一枚)を進呈します。 

沿革


(年度) (展覧会名)  
2011年 「美術大学選抜日本画展」 (通算1回)
2012年 全国美術大学奨学日本画展」 (通算2回)
2013年 全国美術大学奨学日本画展」 (通算3回)
2014年 全国美術大学奨学日本画展」 (通算4回)
2015年 「第1回 石本正 日本画大賞展」 (通算5回)
2016年 「第2回 石本正 日本画大賞展」  (通算6回)
2017年 「第3回 石本正 日本画大賞展」 (通算7回)
2018年 「第4回 石本正 日本画大賞展」 (通算8回)
2019年 5回 石本正 日本画大賞展」 (通算9回)
2020年  ※ 新型コロナウィルス感染症の影響で開催中止  

2021年

「第6回 石本正 日本画大賞展」 (通算10回)

2022年

「第7回 石本正 日本画大賞展」 (通算11回)

2023年

「第8回 石本正日本画大賞展」 (通算12回)

<成り立ち>

2011年、島根県西部・石見地方から全国に向けて芸術文化を発信する「碧い石見の芸術祭」(主催 芸術と文化のまちづくり事業実行委員会)がスタート。年間を通して様々なアートイベントを企画する中で、全国の美術大学で日本画を学ぶ学生を奨励する展覧会として開催

<展覧会名改称について>

2011年の開催当初から、石本正先生は自分の名前を公募展に冠することを固辞してこられました。しかし、先生の「絵に対する心」を柱とした展覧会であることから何度も重ねてお願いし、ようやく「第1回 石本正 日本画大賞展」として開催が決まっていた矢先のこと。20159月に石本先生が急逝されました。若い力あふれる学生の作品を見たいと念願されていた先生に、作品を見ていただくことも、直接ご指導いただくことも叶わなくなりましたが、その精神を受け継ぐ審査員の先生方をはじめ、多くの方々のご協力を得ながら、「石本正 日本画大賞展」として新たなスタートを切ることとなりました。