2021年 「第6回 石本正 日本画大賞展」 受賞作品

大賞


唐津 桃子 (札幌大谷大学 4年)
《はたちのこっかく》

【作品コメント】

不摂生が祟り骨が浮き出たグロテスクな身体を、なんとかライトな表現にできないかと制作しました。

 

【受賞のことば】

受賞の一報をいただき、研究室一同大変驚嘆いたしました。日本画を学ぶ中で和紙の美しさを活かす表現を考え、それを初めて試みた作品でした。皆様のお目にとめていただき誠に光栄に存じます。大賞を賜りましたこと、厚くお礼申し上げます。


準大賞(第一席)


荒木 百花(成安造形大学4年)
 《昼日中の木》

【作品コメント】

実際の風景よりもオレンジがかった色味にすることで、昼の暖かな空気感をイメージしています。奥行きのある表現にするためにオレンジ系統のみならず多様な色を使い、特に青みがかった色を奥の樹木には使っています。

 

【受賞のことば】

賞をいただき、嬉しさと驚きでいっぱいです。この作品は描いていくうちに、少しずつ着目点や表現方法が変化していきました。同じものを2度は描けないと思うきっかけになりました。今後も自分のペースで表現を模索し、良いと感じたものを描いていきたいと思います。


準大賞(第二席)


竹歳 和真 (嵯峨美術大学 修士1年)
 《拠り所》

【作品コメント】

梅雨、杉並木に覆われうす暗く霧掛った愛宕山。木々の間から差し込む光に眼を奪われた。そこは岸壁から迫出た岩の間に山水が涌き出て、苔が生い茂り虫たちが集まる。そんな生命の拠り所に魅了され描いた。

 

【受賞のことば】

私の作品「拠り所」を準大賞に選んで頂き大変嬉しく思います。私の制作姿勢はとにかく現地に赴き、深く対象と向き合うことによる自身の体感を制作の根幹としています。表彰式にて西久松先生から作品から写生に対する姿勢を感じると評価を頂き、自身のスタイルに自信を持つことができました。


特別賞(日本海信用金庫 理事長賞)


堀田 紅音 (東京藝術大学 修士1年)
 《階段》

【作品コメント】

いつか見た風景を描きました。その時には何とも思わなくても時間が経ってから何故か妙に気になってしまうことがあります。階段を降りると確か海に繋がっていたと思います。風が強かったかな、寒かったかななどと記憶をたどりながら描きました。

 

【受賞のことば】

一人で絵を描いている時はいつも不安ばかりです。これで良かったのか、変じゃないか、など様々な不安と葛藤しながら、今の自分にできることはやりきろうと何とか完成させています。賞を頂けたこと、このような形でたくさんの人の目に触れること、素直にとても嬉しいです。そして更に精進せねばという背筋の伸びる思いです。


特別賞(浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞)


加藤 まみ (武蔵野美術大学 修士1年)
 《environment》

【作品コメント】

学部生から院生になり、周りの環境や人間関係は、少しずつ変化していく。

それらの変化は、常にまとわりつき、自分自身へ影響を及ぼしていくものだと最近感じることが多くあったので、それを作品にしようと思った。

 

【受賞のことば】

この度は、このような賞をいただき、大変嬉しく思っております。 コロナ禍という状況の中、開催していただき、ありがとうございます。 今回は、表彰式がオンラインでの実施により、現地へ向かうことが難しい状態でしたが、事態が収束しましたら島根の地、そして石正美術館へ必ず伺いたいです。これからも精進して参ります!


奨励賞(50音順)


《在る》池田 絵菜 (崇城大学 修士1年)

【作品コメント】

剥き出しの姿のままなぜ残されているのか。その意味を誰も知らない。知ろうともしない。隠されるように、音もなく、ただそこに在るだけ。少しでも目に触れるようにとこの姿を切り取った。

 

 

【受賞のことば】

この度は奨励賞を頂き誠に嬉しく思います。この作品のモチーフは、2016年の熊本地震で被災した車です。単なる壊れたもので終わらせず、想いや歴史という目に見えない部分も表現したいと思い描きました。少しでも想像力が掻き立てられるような作品を描けるように今後も精進していきたいと思います。

《芯》柴田 彩都 (文星芸術大学 修士1年)

【作品コメント】

アミメキリンの模様が、強く端麗な目を引き立てていると感じた。

 

 

【受賞のことば】

受賞の連絡をいただいた時、「私が!?」という驚きが大きかったです。大学に入学してから、公募展などで賞をいただくのは初めてなので、とても感動しています。この経験を励みに、これからの制作にも努めて参ります。本当にありがとうございました!


《惰眠》真酒谷 祥加 (金沢美術工芸大学 4年)

【作品コメント】

コロナ禍で、外出することができないと

自分自身に言い訳をして、

ベッドの上で無為徒食の日々を送る様を描きました。

 

 

【受賞のことば】

この度は、奨励賞をいただきまして心から感謝申し上げます。これまで、自身の制作の方向性に悩み立ち止まることも多かったのですが、ここで評価していただいたことを糧にして、一層精進していきたいと思います。ありがとうございました。

《擁》 福田 彩乃 (東京藝術大学 修士1年)

【作品コメント】

何かから逃げ隠れたり、想いを隠したりしたいとき、大きなものに覆われたくなる。心への救いの象徴として、普段雨や日差しから守ってくれる傘を描いた。藤の花は雨なのか、涙の代わりなのか、不死への祈りなのか。

 

 

【受賞のことば】

この度は奨励賞をいただくことになり、誠に有難うございます。まさか自分が受賞できるとは思わず、また、何か賞をいただくのは今回が初めてで、大変嬉しく存じます。今後もこれを励みに精進して参ります。最後に、この作品を制作するにあたりご指導いただきました先生方、支えてくださった方々に、心より御礼申し上げます。


《刻む》 宮城 亮太 (大阪芸術大学 4年)

【作品コメント】

画面の奥へと掘り進むと見える色や形。それらを自分の手で「削り」「重ね」「削る」この作業を何度も繰り返し、画面の作業を進めると同時に自分自身を掘り下げる時間を意識した。観る側にもそれを感じて欲しい。

 

 

【受賞のことば】

この度は賞をいただき光栄に思います。私としては課題の多く残る制作となり、時間をかけた分悔しさも残りましたが、今回出た自分の課題を今後の制作で活かしながら自身の成長につなげていければと思います。 この度はこのような貴重な機会を作ってくださり、誠にありがとうございました。


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