島根県浜田市出身の日本画家・石本正画伯(1920-2015)の功績を顕彰し、未来への希望に満ちた学生たちの創作活動を奨励するために開催してきた「石本正日本画大賞展」。全国の日本画専攻を有する美術大学に、優秀な学生作品の推薦を依頼し、今年は29校よりご出品いただきました。
そして9月5日(金)、全86作品の中から大賞1点、準大賞2点、特別賞2点、奨励賞5点を決める審査会が行われました。
審査員の土屋禮一先生、奥村美佳先生、西久松吉雄館長(石正美術館)による厳正な審査の結果選ばれた受賞作品を発表します。受賞者の皆さま、おめでとうございます!
【 大賞 】
《Twilight》
今本 章 いまもと あきら
東京藝術大学 修士1年
【作品コメント】
スウェーデンに滞在したときに立ち寄ったカフェの風景。夏至の北欧は白夜の真っ只中で、夜中でも窓から見える街は薄明るく幻想的だった。あの時感じた空気感を思い出しながら描いた。
【 準大賞 】
第一席
《つたふ》
星野 陽子 ほしの ようこ
金沢美術工芸大学 3年
【作品コメント】
暗がりに階段があり、横の壁に光が差して不思議と心地が良い様子を描いた。今は光が見えなくともこの壁のように徐々に光が差してほしい。
第二席
《scale》
増岡 詩乃 ますおか しの
京都市立芸術大学 修士1年
【作品コメント】
私たちは、無意識にも有用と不要を勝手に決めつけてしまうところがある。
葱坊主の姿と、当たり前の日常にある身近なモチーフを介して、人間の身勝手さをぼんやりと可視化したいと思った。
【 特別賞 】
日本海信用金庫 理事長賞
《友人の机》
本間 月菜 ほんま るな
東京藝術大学 修士1年
【作品コメント】
友人の机を描いた。机の上はさっきまで作業をしていたかのように放置されている一方で、棚のフィギュアやおもちゃはこだわって並べられていた。友人の生活や性格を垣間見ることができて面白いと思い、題材にした。
浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞
《帰り道》
佐野 蓮夏 さの れか
女子美術大学 4年
【作品コメント】
帰り道、ビルの隙間から滲む夕空に心がほどけた光景を描きました。
架線や雲が交わる情景に、時間の流れと日常の尊さを感じ、その心地よさと静かな余韻を留めるように表現しています。
【 奨励賞 】(50音順)
《結(むすび)》
岡田 愛生 おかだ あき
文星芸術大学 3年
【作品コメント】
ロープの結び目が、何かを守るように静かにたたずんでいた。門出という地で、自然と人、日常と非日常、過去の学びとこれからの歩み――それらの境界をそっとつなぎとめるように。新緑のなか、静けさに包まれたこの瞬間は、心を整え、新しい自分と出会うための「結び直し」だったのかもしれない。
《地(じ)》
栗林 乙葉 くりばやし おとは
嵯峨美術大学 修士2年
【作品コメント】
漠然としていて捉えきれないけれど、確かにそこにあるもの。
自分の内にある地となる部分をみていたと思う。
《宝箱》
小林 明日香 こばやし あすか
愛知県立芸術大学 修士2年
【作品コメント】
偶然見つけたお店が、まるで店主がキラキラし宝物をあつめた宝箱のような空間を覗いているようでとても美しいと感じました。
《毎日いってたかわら》
西森 公美子 にしもり きみこ
嵯峨美術短期大学 専攻科2年
【作品コメント】
見えていることと、選んだことと、僕ができること。
《私》
松本 理沙 まつもと りさ
比治山大学短期大学部 専攻科美術専攻
【作品コメント】
この作品は、私自身をモデルに描きました。描きたいものや、表したい自分の気持ちを一つの作品でたくさんの方に伝えたいと思い、自分自身を描くことで言語化しづらい感情まで伝えられるように作品化しました。
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